新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。Zen Japan株式会社、代表取締役の尾亦周平です。皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。2026年の幕開けにあたり、私自身の正月の体験を通じて感じた、身近なテクノロジーの進化と、これからの時代に私たち人間に求められる役割について考えたことを綴ってみました。少しだけお付き合い頂ければ幸いです。

日々のお困りごともAIで解決

この正月に、改めてAIの威力を感じる出来事に遭遇しました。実家に帰省した際のことです。オール電化である実家の蓄電池の残量が急激に低下し、緊急モードが発動。高齢の両親を含め、家族はどうすればよいかと狼狽し、正月早々、家の中は不穏な空気に包まれました。

従来であれば、メーカーのサポートセンターへ電話をかけ、繋がらない回線にイライラしながら待つか、分厚い取扱説明書を引っ張り出して該当ページを探すところかもしれません。そこで、私はふと思い立ち、Gemini(生成AI)を起動、配電盤の写真を撮影し、状況を説明して「どうすればいい?」と問いかけました。

解決策は一瞬で提示されました。「昨晩ブレーカーが落ちた影響で、発電機と蓄電池の連携システムが正常に再起動していない可能性があります。以下の手順でリセットしてください」との回答。その通りに操作すると、システムは嘘のように正常復帰しました。両親は安堵した表情を見せて、家族団らんの時間が再開されました。

その後、妻の実家に家族を残し、一人自宅に戻った時のことです。溜まった洗濯物を片付けようとドラム式洗濯機を回したところ、今度はエラーコードが表示され、洗濯が一向に進みません。ここでも、洗濯機のブランドと型番、そしてエラーコードが表示されたパネルの写真をスマホのGeminiに送りました。結果はやはり一瞬。原因と対処法が即座に提示され、無事に洗濯を完了することができました。

これは些細な日常のトラブルかもしれません。しかし、これまで専門知識を持つ人やマニュアルに頼らなければ解決できなかった問題が、誰でも使えるAIによって「一瞬」で解決される現実は、私たちコンサルタントと呼ばれる職業にとっても、示唆に富んでいます。「答え」そのものの価値がコモディティ化し、誰もが最適解にアクセスできる時代になっています。

AIを使って何をするか

AIの浸透は、ビジネスの現場ではさらに加速しています。親戚の学生から聞いた話も、今の時代のスピード感を象徴するものでした。

彼のインターン先であるマーケティング会社では、AIによる業務の自働化がどんどん進んでいるとのこと。驚くべきは、その自働化の仕組みを構築したのが、現役の大学生だということです。AIを駆使して業務効率を高めて事業拡大を行う中にあって、「大学生の起業家が、大学生のインターンを雇う」という、従来の企業構造からすれば不可思議なエコシステムが成立しています。

「AIを使って何をするか」という発想を持ち、自ら考え、レールを敷く(仕組みを構築する)者が勝つ。既存のルールの上で効率よく走るだけでなく、ルールそのものを設計し、運用できる人材が世界を動かしています。

また、16歳以下の子供たちは「α(アルファ)世代」と呼ばれており、彼らはデジタルネイティブを超えた「AIネイティブ」です。生まれた時からAIが身近にあり、それをパートナーとして当たり前に使いこなす彼らが、社会の中核を担うようになる未来は、すぐそこにあります。

思考を退化させるか、進化させられるか

頭脳労働と言われるコンサルタントの仕事においても、AIはもはや欠かせないものとなっています。私自身、単純な業務の自働化だけでなく、自らの考えをブラッシュアップする際や、議論の盲点を探す際の「壁打ち相手」として、AIを頻繁に利用しています。客観的な指摘は、時に私の主観的なバイアスを正し、視座を引き上げてくれます。

しかし、その一方で強い危機感も抱いています。

「AIを使えば使うほど、自分自身が考えなくなっている」という怖さも同時に感じています。

問いかければ、もっともらしい答えが即座に返ってくる。その便利さに甘え、思考のプロセスをショートカットしてしまうと、人間の脳は容易に退化します。答えを導き出すまでの「悩み」や「試行錯誤」、言うなれば「頭の汗をかく」プロセスにこそ、独自の洞察や知恵が宿るはずです。

AIを使いこなしつつも、自分の頭(脳)をサボらせない。出てきたアウトプットに対して、「本当にそうか?」「現場の感覚とズレていないか?」と批判的に検証し、魂を吹き込む作業こそが、プロフェッショナルとして生きる上で不可欠な要素だと感じています。

そして、人間だけが持ち得る「身体性」を使って、現場で起こっている事象を、五感をフル活用して吸収し、分析・結論に昇華させること。弊社で行っている、この「お作法」ともいえるプロセスは、脳をフル活用して、思考を進化させ続けることにも繋がっています。

生き残りに向けた2つの視点

日本は深刻な人手不足と少子高齢化の真っ只中にあります。労働人口が減少していく中で、日本がいかにして国際的な競争力を保ちながら生き残っていくか。そのための重要なポイントは、2点あると考えています。

①一人ひとりが、付加価値を創りつづけること
前述の親戚の話にも通じますが、正解の見つかりづらい世の中において「誰かが敷いたレールの上を走る」だけではなく、小さくとも、自ら新しい価値を定義し、レールを敷くことが求められます。そのためにも、世の中にどんなニーズ(お困りごと)があるのかを知ることがスタートラインになります。

答えは現場にあります。AIは仮説を出してくれるものの、人間が現場に行き、現場の方と話しをすることでニーズの仮説は確信に変わります。人のお役に立つことで産まれる「付加価値」は、人間の意志によって生み出していくものです。一人ひとりがこの付加価値を創り続けることを止めない(だれかのお役に立つ気持ちを忘れない)ことが、この国の競争力を高め続ける礎となるはずです。

② 一人ひとりが、前向きに、明るく生きていくこと
精神論に聞こえるかもしれませんが、結局のところ、AIを動かすのも、世の中を動かすのも、全ては「人次第」です。人間が動かなければ、何も進みません。数年後にAGI(人口汎用知能)が登場、十数年後にはヒューマノイドが街を闊歩し、労働の多くを代替する時代が来るかもしれません。しかし、どれほど技術が進歩しても、「一緒に働きたい」「この人と未来を作りたい」と思わせる力は、人間の「明るさ」や「前向きなエネルギー」に宿ります。外部環境は激しく変化しますが、変化を楽しめるポジティブなマインドセットを持つこと。それが、人やチャンスを引き寄せ、先行き不透明な時代を突破する原動力になると確信しています。

熱量をもって「日本を世界へ」

弊社Zen Japan株式会社は、「日本と世界を繋げて、ワクワクしながら成長を実現していく伴走者」を経営理念に掲げています。

私はこれまで、日本製品の素晴らしさを世界に広げたいという想いで、電機メーカーや空調メーカーでの海外駐在、独立後の中堅・中小企業の海外進出支援を行ってきました。その中で体験として確信していることは、ビジネスを動かすのは最終的には「人の心」だということです。

データや論理は重要です。しかし、人が五感で感じる「熱量」や、心を震わせる「感動」といったものは、人の力があればこそ生まれるものです。例えば、海外の見込客(エンドユーザー)に訪問して、ユーザー様のお役に立てることは何か、パートナーの代理店と膝を突き合わせて、喧々諤々の議論を行い結論に至る。当たり前かもしれませんが、こうしたアナログなプロセスから生まれる納得感は、海外のパートナーと国境・人種を超えたビジネスを成功させる鍵だと確信しています。

当社は創業後4年を経過しました。ありがたいことにクライアント様からのご支持をいただき、成長し続けています。世の中が大きく変化しつづけている中にあって、スキルや経験を磨くだけでなく、人間だからこそ産み出せる熱量を持ち、期待値を超える付加価値を提供し続けることで、これからも、クライアント様の事業成長に貢献していければと考えます。

AIを傍らに、パートナー会社など多くのステークホルダーと共に価値を共創しながら、人間にしかできない「熱量をもった支援」で、中堅・中小企業の海外進出・事業成長に伴走してまいります。

本年も変わらぬご愛顧のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

Zen Japan株式会社
代表取締役 尾亦 周平