専門家に頼むメリットについて
1.外部環境のうねり
グローバル化・少子高齢化という構造的な世界のうねりに加えて、コロナウイルスの蔓延・自然災害の発生など、世界は混沌としています。
AI、IOTなどテクノロジーの進化によって、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にあることから、「VUCA(ブーカ)の時代」と呼ばれています。
V(Volatility:変動性)
U(Uncertainty:不確実性)
C(Complexity:複雑性)
A(Ambiguity:曖昧性)
一方で、「人生100年時代」という言葉が当たり前のように使われるようになった現代において、私たちはこの世界を生き抜いていかなければなりません。
変わり続けなければ生きていけない
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは「この世に生き残る生物は,最も強いものではなく,最も知性の高いものでもなく,最も変化に対応できるものである。」と言いました。大変化の大海原の中で、私たちは外部環境の変化に合わせて、自らを変えていかなければ生き残れません。10年後に残っている企業は6%である、という数字が語られることがありますが、真偽の程は別としても、この環境変化の大きな時代に「今のままで良い」と感じていたら、10年後の未来はどうなっているでしょうか。
中小企業白書によれば、日本には中小企業が約358万社あり、日本の企業数の99.7%、雇用の68.8%を生み出しています。
コロナ禍で経済産業省は、「事業再構築補助金」という異例の大規模補助金を投入して、やる気のある中小企業に「新事業に挑戦」するよう促しています。
これだけの大胆な施策が投下されるのには理由があります。
① 日本の屋台骨である中小企業の生産性が長期で停滞していること。(労働生産性は2000年以降、実質伸び止まり)
② 日本における新規開業率は欧米各国の半分程度で起業が少なく、新陳代謝が進んでいないこと。
③ 経営者の高齢化が進み、2025年には70歳以上の経営者が65%を占め、その約半数が後継者未定の状況である状況。事業引継ぎ(事業承継)は待ったなしの課題。
このような状況下で、国としても経済の屋台骨となる中小企業の生産性を改善するために、補助金施策を総動員しているという状況です。
2.「事業計画」は、事業の羅針盤を持つこと ~準備が8割〜
突然ですが、ここで質問です。
エベレスト登頂に挑戦する登山家が、地図とコンパスを持たずに出発しますでしょうか?
エベレストのような山でなくとも、一般的に、登山は「準備が8割」だと言われたりします。正しく情報収集を行い、計画を立てて登ることが安全な登山に繋がる、という意味です。
事業運営も山登りと同じです。
天気は良いのか?(市況・競合等の状況を把握)、どの道を行くか?(戦略・戦術)、いつまでにどれくらい登るのか?(将来計画)、どんな装備で行くか?食料・水分は?(アクションプラン)。最悪の場合、下山する(撤退)ことも頭に入れなければなりません。
上記のような外部環境・内部環境を踏まえた上で、戦略立案の上、アクションプランまで細分化して言語化することを「事業計画」と呼んでいます。
事業計画の効果(中小企業白書より)
中小企業白書によると、小規模事業者の中で「経営計画を作成したことがある」と回答した会社は53.0%にとどまりました。一方、経営計画を作成した効果について、「経営方針と目標が明確になった」及び「自社の強み・弱みを認識できた」と回答した企業が、それぞれ約7割でした。又、経営計画の作成の有無が売上アップにも相関したという調査もありました。準備をしっかりした登山者は、より安全に山登りができているという証左です。
3.PDCAを回す
ただ、登山も準備を8割行ったことで、満足していたら駄目です。準備の上で、実際に登ってみる。そして、当初シミュレーションしていた想定を、現実に合わせて修正していきます。
事業も同じです。私が所属していたダイキン工業㈱という会社は、売上3兆円を目指す世界一の空調メーカーですが、各事業部・各部門が「5年毎の中期計画」と「単年度の予算」を作成して、各レベルでPDCAをグルグル回しています。ダイキン工業の強さは、あれだけの大企業が個別の部門で最適解を求め(局地戦の論理、ランチェスター戦略)、それを全社でPDCAを回して改善を続けていけることだと思っていました。
しかし、経営資源が限られる中小企業が同じことをするのは、当然ながら難しく、特に、外部環境を把握しながら事業の方向性を決め、アクションにまで落とし込む、という事業計画を立案することは大変です。更には、実際にアクションを打ってから、振り返ることは難しく、「やりっぱなし」の計画になってしまうことが多いと感じます。
4.専門家を上手く使ってください
私たち専門家は、文字通りその道のプロです。社員を雇い、1から教育する必要がありません。
更に、専門家なので、沢山のクライアントとお会いする中で成功/失敗のパターンを多数ストックしています。
最適な解決方法を対話を重ねながら、最速のスピードで見出して行くことができます。
先行きの見通しが見えず、外部環境が大きく変化する時代の中、「使った分だけ払う」というサブスクリプション型のビジネスが成長しています。全ての業務を自社で行うことは難しい上、雇用に伴う固定費が増大すれば、それだけリスクも大きくなります。
必要な時に、必要な専門家を雇うことで、低コストで高い効果を得ることができます。